2025年10月22日
2025年9月28日(日)、東京文化財研究所(東京都台東区)にてUNESCO世界遺産「バーミヤーン渓谷の文化的景観と古代遺跡群」に関する国際シンポジウム『バーミヤーン遺跡の「今」』(主催:帝京大学、共催:UNESCO、後援:外務省)を開催しました。
開会に際して、帝京大学理事長 冲永佳史、UNESCOプログラムオフィサー Brendan Cassar氏、外務省国際文化協力室課長補佐 キャプラン千晶氏がそれぞれあいさつし、第一部の講演へ移りました。まず本学文化財研究所教授 山内和也による基調講演「バーミヤーン遺跡の20年と今」では、タリバン政権による仏像の破壊、遺産保存に向けた国際協力、インフラ整備などによる文化的景観の変化など、バーミヤーン遺跡の歴史が説明されました。続いてBrendan Cassar氏による講演「アフガニスタンにおけるユネスコの保護活動」では、遺跡を保護するだけでなく観光産業として雇用を生み、地元民のよりよい生活のために活動していきたいとのお話がありました。第二部では筑波大学教授 谷口陽子氏、保存修復専門家であるFabio Colombo氏、フィレンツェ大学教授 Mirella Loda氏がそれぞれ専門家の立場からバーミヤーン遺跡の修復活動について講演しました。第三部では龍谷大学教授 岩井俊平氏がコーディネーターを務め、「専門家会議から見えてきた新しいアプローチ」と題したパネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションではアフガニスタンの治安悪化時の体験談や観光産業によるオーバーツーリズムの懸念、地元民の雇用、タリバン政権とのかかわり方についてなど幅広い議題が挙がりました。
最後に閉会のあいさつを山内教授が務め、「専門家たちが情熱をもって研究や保護を続けている、ということが伝わっていればうれしい。またバーミヤーン遺跡について語り合う機会が設けられればと思っている」と話し、シンポジウムは盛況のうちに閉会しました。帝京大学は今後も多様な知見を社会へ還元し、多くの方に学びの場を提供していきます。
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撮影:福田大輔